東日本大震災の被災地からの報告

〜被災者に一番近いところで黙々と遺体捜索と収容に当る男たち〜


「メール証言集」に寄せられた山本興一さんに、被災地の友人から届いたメールです。(HP管理人)


◆滅私奉公で任務に就いている被災地支援自衛隊員たち

犠牲者の遺体捜索、瓦礫の撤去作業に当る陸上自衛隊員たち(陸上自衛隊HPから転借)

≪今災害救助にあたっている自衛隊員。彼らの任務は、遺体の捜索と探しだした沢山の遺体の埋葬、及び放射能のため避難命令が出ている20km圏内での漂流物の除去など。苛酷な環境の中で、彼らは24時間交代で、休憩は3時間。

隊員に課せられた主な厳守事項は、
@被災者の方に対して温かい食事を炊き出して提供するときも、自らは絶対それに口をつけない。冷たい缶詰の米を食べる。

A被災者の方に対して温かい風呂を用意するときも、絶対自らは入らない。そして自らは氷点下の雪の下で水のシャワーを少しずつ浴びる。

B救助者がすがり付いてきても、絶対に笑顔を絶やすな。絶対に泣くな。

ということ。しかし、ある自衛隊員のメールでは、「少し歩くたびに死体ばかり見つかる。一人ずつ確認していく。泥だらけの救助者たちが力のない手で俺の手を握り“ありがとう”と言われるたびに、涙を耐えるので精一杯だった」とある。また、別の隊員からは、「子供の遺体を収容すると、幼稚園生ぐらい。兄弟だろうか、抱き合ったまま亡くなっていた。子持ち の仲間は肩を震わせていた。でも、俺たちは泣くことができない。この町が復興する まで、俺たちの涙なんか意味がないから」というメールが届いた。
 
自衛隊員の任務について、ときの内閣総理大臣・吉田茂は、昭和32年2月の防衛大学第1回卒業式で、次のような訓示をしている。

「君たちは自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり、歓迎されることなく自衛隊を終わるかもしれない。非難と叱咤ばかりの一生かもしれない。ご苦労だと思う。しかし、自衛隊が国民から歓迎され、ちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡の時とか、災害派遣の時とか国民が困窮し、国家が混乱に直面している時だけなのだ。言葉を変えれば、君たちが日陰者であるときの方が国民や日本は幸せなのだ。どうか、耐えてもらいたい」

山本さん、私は今、この首相訓示を涙とともに読んでいます。≫  


♪BGM:Chopin[Ballade1]arranged by Reinmusik♪
 

表紙へ