いなほ随想

♪クラシックレコード鑑賞の楽しみ♪

滝沢公夫(30法)

はじめに

★手回し蓄音機で、クラシックレコード(SP)の名曲に夢中になり始めたのは、終戦直後の旧制長野中学(その後長野高校になる)の2年生頃でした。蓄音機は、裁判官をしていた父親が、全国転勤の中で大切にしていたもので、これを使用できたのは本当に幸いでした。

手回し蓄音器

★もともとクラシック音楽に関心を持ったのは、通っていたキリスト教会で、度々レコードコンサートが実施され、強く心に通うものを感じたからでした。長野市は善光寺で有名な仏都ですが、一方キリスト教も盛んで、私は外人宣教師によるバイブルクラスにも通っていたのです。その後、中年以降仏教に関心を持つようになったのは、我ながら不思議な感じです。

レコードの入手

★家には、殆どクラシックレコードはありませんでした。従って、市内のレコード店で時折開かれるレコードコンサートで店主と仲良くなり、戦後の乏しい在庫の中から安い傷ものを取っておいてくれ、長期間僅かな小遣いを貯めては、勇んで好きな曲を購入したのでした。

★終戦直後のことで、新しく製造したビクターの赤盤でも、盤の縁からボール紙がはみ出ているものもありました。それでも、本当に嬉しかったものです。

曲目の選定

★毎週放送されていた、ラジオの「青少年シンフォニーコンサート」で採り上げられた、いわゆる名曲を中心にして収集していきました。勿論心にドスンと響く曲です。

★結果的に、やはり入門者が取り付き易い、ベートーベン・モーツァルト・チャイコフスキー等から始めました。指揮者やオーケストラも、往年の名手が中心となりました。最初に購入したのは、ベートーベンの交響曲第五番「運命」でした。トスカニーニ指揮、NBC交響楽団のものです。4枚続きのビクター赤盤で、擦り切れるほど繰り返し聴いたものです。

★次に入手したのは、同じくベートーベンの交響曲第五番「田園」でした。これは、コロンビア盤で、指揮はブルーノ・ワルター、ウィーン・フィルハーモニー交響楽団のもので、5枚続きでした。このようにして、ベートーベンを中心に次第に他の作曲家へと範囲を拡大して行ったのでした。指揮者・演奏家についても同様でした。

ベートーベン「交響曲第5番 運命」(SP) ベートーベン「交響曲第6番 田園」(SP)

旧制中学当時の日記から

★「美しい音楽。こんなに楽しいものはない。胸が躍るよ。心が躍るよ。気は安らかに、何の不安も恐れもない。しばし耳を傾けよ、楽しい曲に。」

★「いつ聴いても飽きない音楽。世界の名曲と仰がれている音楽は、陰鬱な心も忽ち軽快となる妙薬だ。中でも秀でたベートーベン。」

ベートーベン「交響曲第9番 合唱」(LP)ジャケット

★このような文章は、几帳面につけていた当時の日記の各所にあり、表現は幼いですが、老年となった現在でも考えは殆ど変わっていません。

SPからLPへーそしてCDへ

★SPレコードは一時大量に保有していましたが、勤務時代の頻繁な転勤の中で破損してしまい、残されたものは少ないです。

★サラリーマンになってからは、専らLPレコードへと移っていきました。当初はモノラル録音のものでしたが、次第にステレオ録音のものになり、給料日ごとに、乏しい小遣いの中から少しづつ購入を続けました。EPレコードも、小品を中心に少したまりました。

★しかし、時代は激変し、いつの間にかCDの時代になり、安直のため購入数も増加し、大好きな飲酒を控えてでも購入するようになり、かなりの在庫になってしまいました。

やはりSPとLPが大好き

SPは、レコード盤に針を落とした時の感触がたまりません。シー・パチパチという音が先ず出てくるのが好きです。音域も広く、演奏家・指揮者も往年の名手であるのが普通です。一方、頻繁に盤をひっくり返す必要があるため、何枚にもわたる曲の場合、手数がかかります。

★LPの場合は、かなりノイズは少なく、音域も広く、盤をひっくり返す手間も大幅に簡素化されます。したがって長大な曲にも適しています。モノラル盤の場合は、特に名演奏家が多く、貴重な存在になっています。ステレオ盤の場合は、音質が良くなっている反面、往年の名演奏家が少なくなっています。

★CDの場合は、全体に価格が低廉になり、取り付きやすい長所があります。演奏家・指揮者も豊富にとり揃っており、選択の余地が大きくなっています。したがって近年購入するのはほとんどがCDとなります。

★しかし、CDの場合は音域がカットされているため、どうしても音質に硬さがあり、あまり心に響きません。やはり、私にとっては、SPやLPのノイズ交じりの広い音域が最も心に響き、心が安らげるのです。

私の好きな曲(SP LP CD テープ)

★若い頃はロマン派を含むクラシック全般でしたが、老年になってバッハ・ヘンデル等のバロック音楽を好むようになり、現在もこの傾向は持続しています。

バッハ ヘンデル ハイドン ブラームス モーツアルト

(バッハ)

     ・ ブランデンブルク協奏曲 1番ー6番   イ・ムジチ合奏団

      バイオリン協奏曲 1番―2番   オイストラフ   ウィンフィル

      マタイ受難曲    カールリヒター   ミュンヘン・バッハ合唱団

      トッカータとフーガ ニ短調   ヘルムート・バルヒャ―

      平均律クラビア曲集    グールド

(ヘンデル)

      組曲「水上の音楽」   ドホナーニ   スロバキア・フィル

      組曲「王宮の花火の音楽」   同上

      オルガン協奏曲    バルビローリ    ハレ交響楽団

(ハイドン) 

      交響曲101番「時計」      ヨッフム   ロンドン交響楽団

      弦楽四重奏曲「ひばり」            イタリア弦楽四重奏団

(ブラームス) 

     ・ 交響曲13番        カール・ベーム   ウィンフィル

     ・ 弦楽四重奏曲 13番           ヴェラ四重奏団

(モーツアルト) 

        ・ 交響曲41番「ジュピター」    ベーム     ウィンフィル

     ・ ピアノ協奏曲 20番、21番      ブレンデル    マーチン・イン・ザ・フィールズ

     ・ バイオリン協奏曲 3番         ムター   ベルリンフィル

     ・ 弦楽五重奏曲 1-6番                スメタナ四重奏団

ベートーベン シューベルト シューマン チャイコフスキー リスト

(ベートーベン)

     ・ 交響曲5番「運命」      フルトベングラー   ウィンフィル

     ・ 交響曲6番「田園       ワルター   コロンビア交響曲団

     ・ 交響曲9番「合唱」      カラヤン    フィルハーモニア

     ・ ピアノ協奏曲5番「皇帝」   ケンプ     ベルリンフィル

     ・ ピアノソナタ23番「熱情」   ケンプ

(シューベルト)

      ・ :弦楽四重奏曲14番「死と乙女」   イタリア弦楽四重奏団

       「冬の旅」          フィッシャー・ディスコー

(シューマン)

      ・ ピアノ五重奏曲    ゼルキン   ブダペスト弦楽四重奏団

( チャイコフスキー)

          ・ 交響曲4番      ムラビンスキー   レニングラードフィル

      ・ ピアノ協奏曲1番   アシュケナージ   ロンドン交響曲団

      ・ バイオリン協奏曲   ハイフェッツ     シカゴ交響曲団

      ・ 弦楽セレナード                ベルリンフィル

(リスト)

        ・ 交響詩「前奏曲」  オーマンディ    フィラデルフィア交響楽団

★その他にも、多くの好きな作曲家や曲がありますが、膨大になりますので省略します。

おわりに

★私はジャズ音楽も好きですが、やはりクラシック音楽が最も感動的であるとともに、神経を休め、心に落ち着きを与えるもので大好きであり、少年期からこの点は変化がありません。

★FM放送の名曲も良く聴きますが、やはり手元にあるSP・LPレコードやCDまたはテープが最も安直です。特にCDは大変曲種や演奏家の種類が多く便利ですが、やはり音の広がりや情趣の面ではSPやLPの方が優れていると思います。

★SPの「早稲田大学校歌」も大切にしていますが、今後も、手回し蓄音機やレコードプレヤーを大切にし、クラシック音楽をレコードで聴くという趣味は続けていきたいものです。

クラシックレコード鑑賞オタクの小川浩史さん(35法)から届いた「余聞」クリック

♪BGM:Chopin[Piano Concerto1]arranged by Reinmusik♪

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