いなほ随想
2011年を振り返って
ー米誌『TIME』から見た日本ー

大屋元治(30商)

★商社マンだった仕事柄で、いまも何冊かの雑誌が英米から送られてきますが、東日本大地震と原発事故の大災害に遭った日本が、海外からはどのように見られていたか、アメリカの有力雑誌『TIME』の報道から振り返ってみたいと思います。  

◆”PERCUSSIVE FURY” 

★パーカッションですから楽団のドラムです。 かの有名なベートーベンの”運命”、「♪じゃじゃじゃジャーン」という激しい音を伴って襲った恐怖と訳したいと思います。

★3月11日 大地震、アメリカは3分後には原子炉のメルトダウンが起来たと推定して、80KM件の米人待避と235KM以遠からの米海軍支援を決めました。「横須賀から米空母が終結地へ向かったのは支援のためではあるが、待避の一面もある。」との記事もありました。

★今から思うと、米国の判断は正しかったことがわかります。私の住む湯河原は、福島第一原発からほぼ235kmに当たります。近くの足柄茶と山北茶の出荷が一時見合わされた事実はそれを裏付けていると思います。

◆”11+THE GOALPOST”

★「合計12プレイヤーのチームに負けただけさ」”なでしこジャパン”にアメリカ女子チームが破れたときの記事です。アメリカはよほど悔しかったのでしょう。スポーツに縁の少ない私にも、実にスリルに満ちた興奮した試合でした。

★あのゴールポストがアメリカのシュートを何本も蹴返しました。もし幸運の女神がアメリカの味方をしていたら5点差ぐらいで日本が敗退していたカも知れません。尤も、それほど好守のキーパーを警戒せざるを得なかったのだろうと”なでしこ”をほめるのが常道でしょうけれども。

★この勝利で日本中が沸き、大震災後の暗いムードを吹き飛ばし、復興への活力を与えたことは勝利以上に価値のあることだと思います。

◆”KAN=KICKING”

★菅首相が又も短命で総理の座を蹴落とされました。「子供の遊び、CAN−KICKING、じゃあるまいし、いい加減にしろ。」との記事の見出しです。

★アメリカが苦境にあり、EUも一体化が危ぶまれている時、アジアで尤も頼りにしている日本がしっかりしてくれなきゃ困るとのメッセージです。

★私の来年の年賀状は上記の”THE GOALPOST” を初めにおき、「政治にも頼りになる柱が欲しい辰年です」と書くことにしました。

★序ながら、TIME誌が「JAPAIN] 即ちJAPANとPAINの合成語を表題に使ったところ、岩国哲人氏が投稿欄に「尊厳あるJAPANを侮辱するものだ」と書いていました。私が一時尊敬した政治家ですが、最近は泣かず飛ばずです。

★私ならともかく、これほどの人物がこんな小者らしい意見を述べるとはがっかりしました。もっと大局に立ってアメリカに意見を行って欲しいと思いました。同時にJAPAIN と書かれるほど日本の実情は憂慮すべきなのかなと考えさせられました。

★ともかく2012年は昇竜の年です。希望を持って頌春と行きましょう。
                                      (11.12.1.記)


♪BGM:E.Stie[Je te veux]Arranged by Reinmusik♪

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