いなほ随想
お陰さまで無事に卒業論文を提出しました
ー小平稲門会の皆様の温かいご支援で39名の面接調査を終えてー


袁心瞳
文学部4年


★日本の文化が大好きな中国浙江省(せっこうしょう)生まれの少女が高校3年のとき、、頼る親戚も知人もいない日本に留学生としてやってきて、岡山の高校で1年間勉強した後、早稲田大学に合格。少女は「日本の言葉をもっと勉強したい」と日本で生活した5年間を通して、日常会話、日本語で文章を書くことの両方をマスター。卒業論文のテーマを生育地が首都圏の日本人のアクセント変化についてとし、面接調査のフィールドワークでまとめることにしました。

★調査対象は10代から80代。20代は、大学の所属サークルの仲間や友人、知人の協力で順調に面接データが集まりましたが、論文提出期限が1カ月後に迫った10月末になっても、親戚も知人もいない留学生には、30代以上の該当者探しは手がかりゼロ。途方に暮れていたとき、友人の1人が言った「校友会の稲門会を調べてみたら」の一言。藁をも掴む思いで、首都圏の稲門会ホームページを片っ端から当ったが、ほとんど更新されていないものばかり。

★最後にアクセスしたのが、4年間在住している地元、小平の稲門会。そして、奇跡が起きました。小平稲門会の会員の皆さんの協力によって、わずか2週間でゼロだった30~80代の39名の面接調査が実現したのです。11月18日までに20代から80代まで約70名の面接調査データを得た彼女は、以来1カ月かけてデータの集計、分析、論文を作成し、卒論の提出を終えました。21日未明、嬉しい報告・礼状を見事な日本語で綴り、ホームページ管理人に送信してきました。以下、中国人女子留学生、
袁心瞳さんからのあいさつ文です。 (ホームページ担当:松谷富彦)

                             ~はじめに~

★今年(2012年)もいよいよ残りわずかとなってしまいましたが、小平稲門会の皆様いかがお過ごしでしょうか。私、早稲田大学文学部日本語日本文学コース4年の袁心瞳(えん・しんどう)と申します。

★既にご存じの会員の方もいらっしゃるかと思いますが、私は中国から参りました留学生で、小平市に4年近く在住しています。日本で新年を迎えるのは、岡山の高校時代を加えると今年で5回目になります。このたびは、私の卒業研究にあたって「アクセントに関する調査」にご協力していただけたことへのお礼と感謝のご挨拶を兼ねて、調査の途中経過や、小平稲門会関連のイベントに参加した感想などについてご報告させていただきます。

                               ~発端~

★まず、私が小平稲門会に調査協力のご依頼をいたしました経緯について簡単にご説明させていただきます。私は卒業研究で、生育地が首都圏である10代から80代の男女を対象に、アクセントの調査をしておりました。調査に際して、現地に赴き、音声サンプルを集める必要が生じました。日本人の友人に協力してもらったりして若年層を中心に30人程度のサンプルを集めましたが、中高年層のものはほとんど集められていない状況でした。そのため、街頭でも調査のお願いをしてみましたが、調査対象の制限などでうまくいかず、調査が難航、途方に暮れておりました。

★そんな折に、研究室の先輩から「稲門会に協力を依頼してみてはどうか」と提案を受けましたため、インターネットで稲門会について検索してみたところ、自分が住んでいる地域にも稲門会があるということと、ホームページが頻繁に更新されており稲門会の方とコンタクトを取れるかもしれないということを発見しました。

★そこで、思い切って調査依頼のメールを出してみたら、ホームページの管理人でもある副幹事長の松谷様からご返信をいただくことができまして、それから数通のメールのやり取りを経て、小平稲門会の執行部様から会員の方々に向け調査協力者募集を行うことのご許可をいただき、調査協力要請説明のメールを一括配信していただきました。それからの調査の内実について、日にちの順に沿ってご報告いたします。

                               ~経過~

[11月8日]

★同好会「ニモクサロン」の11月例会に出席させていただき、調査協力者の募集をさせていただきました。「ニモクサロン」世話役でもある副幹事長の荒木様がご持参されたエジプトのビールの味見をしながら、発表者である小川様のイギリスについての話を聞いていて、私も将来帰国したら、国の人に日本のことについて上手く紹介できるのかとぼんやりと考えたりしました。初対面ではありましたが、皆様優しくて面白い方ばかりで、あっという間に時間が過ぎてしまいました。ご好意に甘え、すっかりご馳走になりました。

★例会後、早速調査要請に快くお応えくださった方(石井道彌様)がいらっしゃいましたので、会場の近くにて1名調査を実施いたしました。石井様には、調査の質問の仕方まで丁寧にアドバイスをいただき、その後の調査に大変役に立ちました。

「ニモクサロン」11月例会であいさつする袁心瞳さん 面接1号の石井道彌さんに質問する袁さん

[11月11日]

★この日は荒木様が予約してくださった喜平図書館学習室にて調査を行いました。荒木様は調査場所を整えてくださったほか、友人や知人の間で調査協力の呼びかけをしてくださったおかげで、協力者が一気に増えました。

★また、松谷様は私から調査依頼を受けて以来、ずっと調査希望者の問い合わせに対応し、やり取りしてくださった上、調査面接予約の調整で寝る間も惜しんで取り計らってくださいまして大変助かりました。

★お二人様は早朝から私の調査に付き添いで面倒を見てくださいまして大変お世話になりました。調査協力者の中では、遠くからわざわざいらっしゃった方も少なくなく、ご足労いただき本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

★おかげ様で、この日は荒木様、松谷様や松谷様のご令嬢を含め、喜平図書館学習室にて15名のサンプルを集めることができました。また小平稲門会の小林秀雄副会長のお嬢様である市会議員の小林洋子様のご紹介で、ルネこだいらにて2名のサンプルを集めることができました。

[小平市立喜平図書館学習室で面接調査をする袁さん]

[11月13日]

★この日は小林副会長のご協力をいただき、小林事務所にて調査を行って、小林夫婦を含め、11名のサンプルを集めることができました。被調査者の中には、ご出勤の途中に遠回りして参加して下さった会員もおられました。その方(岡田憲尚様)は、後で伺ったのですが、小平稲門会の初代会長のご子息とのことで、お忙しい時間を割いてくださったことを知り、感激いたしました。このように良い環境で充実した調査が行えまして、この時点で目標の調査人数をクリアできるメドがつきました。

[小林副会長の事務所で面接調査中の袁さん]

★昼休みを兼ねて、松谷様のご案内で、楽農会の菜園を拝見いたしました。野菜の品種が多く、とても立派な畑でした。ここで育って収穫した野菜は毎年開催されるバーベキューの集いにも使われるそうです。私は普段ほとんど体を動かしていないので、畑仕事でひと汗かかれて、定年した後でも充実した暮らしを送られている楽農会には脱帽です。

楽農会の野菜畑(鈴木町) バーベキューの集いに提供した大根

[11月15日]

★この日は小林洋子様のご好意で、中年層のサンプルを集めるために、ご自身が所属されている小平青年会議所の方々に協力していただきました。夜遅い時間帯にもかかわらず、3名のサンプルを集めることができました。

★短い間でしたが、青年会議所の方々とお話ができましてとても嬉しく思います。その後小林様にお車で自宅まで送っていただきまして、大変助かりました。こまやかな配慮をしていただいて、とても温かい気持ちになりました。

[11月17日]

★この日は小林宅で開催されたバーベキューの集いにお招き頂きました。楽農会で自作されたお野菜やお肉等がとても美味しく、ご馳走様になりました。天候には恵まれませんでしたが、屋内でも行える場所を提供してくださった小林様にも感謝しております。ほかの留学生を含め、多くの会員の方々と交流できまして、有意義な時間を過ごすことができました。これからも、ぜひこのような活動に参加していきたいと思います。 

★イベントの合間に、西東京稲門会会長の金子正男様を含め、2名の方が調査に協力してくださいました。貴重なお時間をいただき、心より感謝しております。

                                 [バーベキュー会場の袁さん] 
面接第1号の石井さんと 現役の3人と峯岸副幹事長
集い中に面接に応ずるる西東京稲門会の金子正男会長 “髭爺”山本さん、松谷副幹事長(中)と
小平稲門会・伊藤順藏会長と招待の現役学生たち 会長に幹事長、副幹事長も加わって
小平稲門会秋の集い「バーベキュー大会」の参加者

[11月18日]

★この日は、小平一中体育館で開かれた小平青年会議所(山田大輔理事長)主催「第5回学校対抗わんぱくなわとび甲子園」でお手伝いをさせていただきました。青年会議所メンバーの小林洋子様には調査協力者集めで大変お世話になりましたので、私も何かお役に立てたらいいなと思っておりました。当日は、三小、花小金井小、学園東小、上宿小など小平市内の小学校14校が参加、応援の父兄を合わせると900名を超える中で小学校間の縄跳び大会が行われました。子供たちの元気な姿やこの大会の背後にいる運営スタッフの方々の活気溢れる姿を見ていると、私もエネルギーをいっぱい頂けたような気がしました。

第5回学校対抗わんぱくなわとび甲子園(写真提供:小平青年会議所)

★青年会議所の方々と同じジャンパーを着て、このような地域活動に参加できまして、ちょっと格好いい気分になりました。小林様にこのような機会を頂きまして、とても嬉しく思っております。

★イベントの後に5名の方に協力していただいた上、青年会議所の懇親会にお招き頂きました。温かい雰囲気に包まれて皆様と気軽に交流することができ、また委員長の交代を目にして、とても感動しました。

                              ~おわりに~

★以上の過程を経て、小平稲門会関係では39名のサンプルを集めることができました。私自身が大学の友人らの協力で集めた約30サンプルと合わせると、当初の目標の約2倍に達しています。おかげ様で、無事卒業論文を提出することができました。

★小平稲門会に調査の依頼をさせていただけたことを、とても幸運なことだと思っております。この場を借りて、改めて協力してくださった小平稲門会、西東京稲門会、小平青年会議所、面接者の皆様に厚くお礼を申し上げます。皆様のご協力なくして、このような充実した調査をこなすことはできませんでした。本当にありがとうございました。

★余談ですが、調査の合間に、松谷様からホームページ作りの話などを伺いました。年輩の方にとってパソコンの操作やインターネットの利用は難しいところも多いでしょうが、こうして稲門会の活動記録を残し、かつ迅速に会員と共有して閲覧できるのは素晴らしいことだと思います。

★稲門会はほかの地域でも活動していますが、ちゃんとホームページを更新しているところは実は少ないように思います。今回はホームページを有効に活用させていただけたことで、このようにたくさんの協力者の方々との出会いが生まれたことを嬉しく思います。小平稲門会の皆様、調査にご協力くださった会員以外の皆様、ほんとうにありがとうございました。(2012年12月20日 記す)



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