やあ、やあ!近隣稲門会との交流         (第9集)
[西東京稲門会・散策の会(2014年2月例会)国立天文台・神代植物公園]
報告:小島恕雄 写真:松谷富彦(小平稲門会)・小島恕雄

参加者  指宿、金子、小島(2)、佐野、松尾、松谷、安村   以上8名 

★2月14日から15日にかけて45年ぶりという大雪が降り、電車は止まり、道路は通行止めになるなど交通は麻痺状態となった。それから3日後の散策の会であったので、無事に歩けるか心配したが、都内の交通機関は平常通り運行し、道路も歩くには問題なかった。本当に久しぶりに指宿さんが参加され、私が病気のため休んだ6月例会のときに初参加された佐野さんが半年ぶりに参加されて、いつもとはちょっと違った顔ぶれとなった。

★武蔵境駅から西武多摩川線で2つ目の多磨駅で下車。多磨霊園が近いため駅前には墓石屋や葬儀屋が並んでいる。踏切を渡り東へ向かうと人家はほとんどなく空き地が広がっている。最初の信号を渡ると右手に近代的な建物群が見えてきた。東京外国語大学である。もとは北区西ヶ原にあったが、2000年に現在地に移転してきたという。

★外語大を行きすぎると突き当りが「武蔵野の森公園」である。この区域は昭和16年に調布飛行場として整備され、その後陸軍や米軍の管理下にあったが、昭和49年に東京都に全面返還され、その一部が平成12年に都立公園として開園した。入口を入ると大芝生広場、花木の広場、雑木の広場が広がっているが、先日降った雪で一面の雪野原であった。まるで北海道の雪原にいるような感じで、東京とは思えない珍しい風景であった。子供たちが雪原を駆け回っていた。

[都立武蔵野の森公園]

★「ふるさとの丘」という小高い丘に登ると調布飛行場の滑走路が一望できる。振り返ると東京外国語大学と警察学校(これも中野から移転してきた)の建物群が見える。調布飛行場の滑走路に沿って長い一直線のプロムナードが造られている。このプロムナードを北から南へ向かって歩く。歩いている間にセスナ機が1機離陸し、3機が着陸してきた。大島、三宅島などへの行くときに使う飛行場である。

[調布飛行場]

犬を連れて散歩する人、ジョッギングをする人、自転車で走る人にとっては最高の場所である。左手は飛行場、右手にはサッカー場、野球場、テニスコートなどが並び、遮るものがないので風が吹き抜ける。この日はかなり北風が冷たかった。公園の南端に味の素スタジアムがある。FC東京のホームグランドであり、サッカー、ラグビーなどの競技のほかにコンサートにも利用されている。

味の素スタジアム

★公園を出て天文台通りを北へ20分ほど歩くと国立天文台に着いた。受付で名前を書けば無料で見学することができる。まず第一赤道儀室を見学した。国立天文台三鷹の中では一番古い建物で、口径20㎝の屈折望遠鏡がある。次に太陽系ウォーキングという展示を見ながら天文台歴史館に向かった。太陽系ウォーキングとは、太陽系の距離を140億分の1に縮めて太陽、水星、金星、地球、火星、… と惑星を並べて展示してあるものである。天体の大きさは14億分の1だそうである。宇宙遊泳をする気分で太陽から海王星まで歩くと天文台歴史館に着く。

[国立天文台]

★天文台歴史館は構内で一番大きなドームで、地上からの高さは約20m、ドームの直径は15mある。中には日本最大の65㎝の屈折望遠鏡があり、星の位置測定などに利用されてきたが、1998年に引退した。

★丁度昼時になったので、研究員や職員が利用する食堂で昼食を取った。ここには日本国内だけでなく世界中から研究者が集まっているので、食券を買うための列の中に外国人の姿も多く、英語での会話が普通に行われている。我々もその列に並び、久しぶりに学食の気分を味わいながら食事をした。

[天文台構内の梅]

★天文台から20分ほどで神代植物園に着いた。正門から入り、クヌギやケヤキの自然林を抜けて梅園に向かった。いかにも武蔵野という感じの自然林が雪で一層趣き深くなっていた。梅はようやく咲き始めたところで、一分から二分咲きといったところである。またマンサクの黄色や赤い花は満開であった。

[都立神代植物園]
自然林 白梅 紅梅
シナマンサク アカバナマンサク マンサクの赤花・黄花

深大寺門を出たところに茶屋があり、そこで焚火を囲んで熱燗の日本酒を飲みながら休息した。

熱燗に味噌おでんで息をつきました。 深大寺本堂

★松尾さんと松谷さんから吟行句を披露していただきました。

     梅東風にセスナの機首を立てにけり   

梅東風や天文館の坂登る           

天文台ドームのあたり初音せる      

天文台より武蔵野の斑嶺           

さりげなく支柱にゆだね臥龍梅       以上、松尾良久

                 

雪解原こけつまろびつ子ら遊ぶ

料峭や翼揺らしつ飛ぶセスナ

天文台悠久つなぐ梅並木

梅椿まんさく咲き沿ふ斑雪(はだれ)道 (季重ね承知)

深大寺境内飾る斑雪(はだれゆき)    以上、松谷富彦 


[西東京稲門会・散策の会(2014年1月例会)井草八幡宮初詣]
報告&写真:小島恕雄

参加者 石井(主)、梶原夫人、金児、金子、小島(2)、野本、浜、比留間(2)、松尾、臼井   以上12名 

9時半に上井草駅を出発。天気は快晴、1月にしては暖かい日である。5分もしないで早大ラグビー部の練習場に着いた。大学選手権が終わったばかりだし、早朝でもあるので学生の姿は見えないが、合宿所には洗濯物が干してあった。

★グランドの入口に日本一になったことを記念するレリーフが4基立っている。全面芝の素晴らしいフルグランドとハーフグランドを持ち、各種のマシンを備えたトレーニング室と合宿所の揃った理想的な環境である。昔の東伏見のグランドとは格段の違いである。

早大上井草グランドで

★ラグビー場の南隣りには杉並区の上井草スポーツセンターがある。ここはプロ野球発祥の地・上井草球場の跡地である。実に立派な施設で羨ましい限りである。

★スポーツセンターに沿って南下し、井草中学の所で右折して西へ、さらに水道局の所を左折してまた南下して次の信号を右折する。この一帯は静かな住宅地で、畑も多い。長い石塀に囲まれ、鬱蒼とした林の中に豪邸が2軒並んで建っていた。N家のお屋敷である。その広さと豪華さに一同感心することしきりであった。

★N家の先で左折すると緩やかな下り坂になるが、杉並工業高校の前に「井草遺跡」の説明板があった。縄文時代の代表的な遺跡として井草式土器が出土したと書いてある。確かに南向きの斜面で、坂の下には川が流れていたと想像されるから、縄文人にとっては理想的な場所だったに違いない。

★やがて早稲田通りに出て右折すると間もなく青梅街道に出た。いずれも非常に交通量の多い道である。その交差点の南東に大きな赤い灯篭が建っている。井草八幡宮の北参道の入り口である。

★広い参道を行くと右手に立派な楼門がある。中に入ると庭の中央に頼朝お手植えの松がある。頼朝が奥州征伐に行く途次に立ち寄って必勝祈願し、2本の松を植えたと伝えられるが、2本とも枯れて、今は2代目の松が1本立っている。前庭の北側に本殿がある。昭和49年に建てられたコンクリート造りの権現造りであるが、殿内に1664年に今川氏が改築した一間四方の朱塗りの本殿がある。この付近は戦国大名の今川氏の末裔が住んでいたところで、現在は今川町という地名が残っている。

井草八幡楼門 本殿

★楼門を出てすぐ南には東西に長い東参道があり、入口には鳥居が建っている。この参道は長さが200mあり、5年に一度行われる流鏑馬神事では馬場となる。井草八幡の前は通っていても中に入るのは初めてという人がほとんどで、その境内の広さと厳かな雰囲気に皆驚いたようである。

★井草八幡を後にしてさらに南へ下ると間もなく善福寺川に出る。川沿いに設けられた遊歩道を遡ると善福寺公園である。善福寺池が公園全体の約半分を占め、池は上の池と下の池に分かれている。下の池は葦などの水生植物で覆われ、鯉が群れ泳ぎ、鴨などの水鳥が遊ぶ。上の池は視界が広く明るい感じのする池でボート場もある。(冬季休業中)

★善福寺池は湧水が多く、神田上水の補助水源として利用されたほど澄んでおり、湧水量も多く、武蔵野三大湧水池のひとつとされている。葉を落としたメタセコイアの茶褐色の木々が青空の中にすっくと立っている姿が印象的であった。また春を告げる梅や蝋梅も咲いていた。

メタセコイア 蝋梅

★善福寺公園に隣接して東京女子大学がある。入試のシーズンで願書を出しに来る受験生も多く賑わっていた。キャンパス内に入ることはできなかったが、正門から登録有形文化財に指定されている本館やチャペル・講堂を見ることができる。いずれも1920~30年代にアントニン・レーモンドの設計によるものだそうである。

東京女子大学本館

★東京女子大を後に静かな住宅街を抜けて五日市街道に出ると、時間は正午を過ぎ、お腹も空いてきた。12人が一緒に食事できるような店はないかと物色していると、とあるマンションの入り口に“グラン・キオスク”という店の看板が目に付いた。階段を登って2階の店に入ってみると、陶器やガラスの食器類、ワイン、台所用品などが所狭しと並んでいる。店員さんに12人で食事ができるかと聞くと、どうぞと言って奥に案内された。この店は中古品などを扱う部分がほとんどで、奥の窓際にテーブルが並んでいて食事もできるという造りになっている。

レストラン「グラン・キオスク」で

★ホテルで使っていた豪華な(しかし古ぼけた)椅子があるかと思えば信号機もあるし不思議な形をしたオブジェもある。要するにいろんなガラクタが並んだ店である。ただ繁華街からは遠いのでお客さんも少なく、静かにゆっくり食事をすることができた。こんな店に出会うのもまた散策の楽しみである。
 

♪BGM:Bach[The Goldberg Variations 31aria]arranged by Kumamoto-Mari♪

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